十束剣

日本列島を創造したイザナギノミコト、イザナミノミコト夫婦は様々な神を生み出した。火の神ヒノカグツチを出産する際、妻イザナギは炎をまとって生まれたわが子に焼かれ、命を落とす。夫イザナギは激怒し、ヒノカグツチの首を掻き切った。そのわが子の首をはねた剣こそ「十束剣」である。この時に流れ出た血から、火の神、岩石の神、雷の神、水の神が生まれたとされる。この時に生まれた神は剣を作る作刀には欠かせない物である。

 妻を失ったイザナギはその後も神々を生み出した。その一人のスサノオは亡き母をしたい続けるため、父イザナギに嫌われ、高天原(天上界】を乱した罪により地上界に追放された。出雲国に降り立ったスサノオは女神クシナダヒメの命を狙うヤマタノオロチを退治する。この時に使われたのも、十束剣である。ヤマタノオロチを斬り裂いた時尾に剣を振りおろしたところ、硬いものに当たり、刃が欠けてしまった。尾の中に一振りの剣が埋もれていた。スサノオはこの剣を「天叢雲剣」と命名し、十束剣の刃をも砕く神剣として、姉アマテラスオオミカミに献上した。

 天叢雲剣はその後アマテラスオオミカミが、孫ニニギノミコトを天皇家の祖とすべく地上世界へ送り出す際に、「八タの鏡(ヤタノカガミ)」「八尺にの勾玉(ヤサカニノマガタマ)」と共に授けたといわれる。「これらが「三種の神器」として、今に伝わっている。